続くかどうか分からないＳＳ

「今の曲は…」

　耳に優しく響くハスキーヴォイス。
　滑舌の良い声、けれどとても柔らかくて。肌触りの良いタオルみたい。
　耳から入った声がそのまま身体を通って皮膚をチリチリと撫でる様な感覚に陥る。春先なのにちょっと暑いのは太陽の所為じゃない。

…ご飯どころじゃなくなってきた。



　多分あと約十五分後あの人は放送室を後にして何喰わぬ顔であたしに微笑むのだろう。それまでの道すがら沢山の子に話しかけられて同じように微笑みながら歩いてくるんだ。



ちょっとむかつく。

続く…？

第四回の代わりに

サバラン澤来陽子とティラミス寺井ミズの話。
時期的には一学期が始まった頃。

新入生の赤井りんが泣いている現場を見つけた生徒会長澤来。
話を良く聞くと、電車内で痴漢にあったという。
羨ましい…じゃない。許せない！！と澤来は犯人捜しに立ち上がる。
寺井を巻き込んでおとり捜査をすることになるが…。
いつもよりかなり早く起きて集合した澤来と寺井は、赤井がいつも乗る時間の電車に乗り込む。

一日目
寺井「あのさー」
澤来「何よ」
寺井「女性専用車両に乗っても意味無くね？」
澤来「痴女かもしれないわよー？」
寺井「うん…そうだったとして考えてみろよ」
澤来「何よ」
寺井「犯人が女だったとしたら、お前が一番怪しいんだけど」
澤来「………」

二日目
気を取り直して今度は赤井が乗っていたという車両に乗り込む。
寺井「なにも無ぇな」
澤来「せっかくガーターしてスカートも短くしてきたのに」
寺井「お前の場合、触られたいオーラを出してるのがダメなんじゃねーの？」
澤来「ニーソならいいわけ？」
寺井「人の話を聞け」

三日目
寺井「今日もハズレか」
澤来「やっぱり痴女だったんじゃないのー？」
寺井「それどんな期待だよ」

しばらく収穫無し…。

そして七日目
寺井「もう無理なんじゃねーの？」
澤来「ダメよミズ！諦めちゃ駄目よ。純真無垢な乙女達が危険にさらさ…」
寺井「電車で大声を出すんじゃ…！」
澤来が寺井の口元に人差し指を当てて、無言で目配せをしている。
寺井がハッとして澤来が視線を移した方を見ると、慶輝女子の制服を着た少女がうつむき加減で困った顔をしている。
寺井がとっさに人混みに紛れ込んでいく。澤来が制止するが間に合わない。
寺井「てめぇなにやって…ん…？」
寺井の手に捕まった腕は思うよりずっと細くて柔らかくて。
その先を視線で追うと、思ったよりずっと低いところで無垢な瞳にぶつかった。


というわけで、犯人は私立小学校に入ったばかりの女の子でした。
…という事でいかがでしょー。
入学したばかりで独りで通学するのが怖くなって優しそうなお姉さんに捕まっていたというオチで。

その後一ヶ月位寺井（と間に合えば澤来←以外とルーズ）が朝だけ途中まで一緒について行ってあげることになったとか。